非常にわかりやすいベネフィットを、完璧なまでに、伝え、刺さるコピーでヒットを飛ばし続けているダイソン社ですが、あの、耳に残るキャッチコピー、実は嘘つきだった事を、あなたはご存知でしたでしょうか。
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“吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機”
誰もが耳にしたフレーズだと思いますし、「ただひとつ」と言い切る力強さが圧倒的な勝ちフレーズの響きとなっていますよね。
ダイソン社の掃除機に魅了され、買い求める人々の多くが
「吸引力が素晴らしい!」
「びっくりするほど吸い込むんです!」
と、その吸引力のハイパワーっぷりを、こぞって褒めるのです。
しかし、実はダイソン社よりも吸引力の優れた掃除機は、たくさん存在するという事実、ご存知でしたでしょうか?
ナンバーワンの吸引力じゃないのに、ただひとつって言うのはおかしいじゃない!!
お客様の怒りも爆発しますよね。
…爆発?したでしょうか??
いえいえ、こぞって皆さん、素晴らしい!と満足の様子。
ですよね。
ダイソン社は、大きな嘘をついたのでは無く、きちんと正しいことを、コピーの中で表しただけなのです。
“吸引力の変わらない ただひとつの掃除機” だと。
『吸引力が最も強い』
だなんて、微塵も言っていません。
『吸引力が変わらない』と言っているのです。
一般的に、掃除機は、使用する度に目詰まりなどを起こし、たくさん使えば使うほど、吸引力が下がってしまう、という問題点をカバーした商品だ、という事です。
恐らく、消費者心理としては
「吸引力」 「ただひとつ」
と言う強いキーワードがセットになった印象を持ったのだと推測されます。
掃除機のみならず、ヒットを飛ばすダイソン社は、扇風機でも、センセーショナルな、他を圧倒するモデルを打ち出します。
それが、『羽根の無い扇風機』です。
キャッチコピーも、その最大のベネフィットに注目させる
“羽根がない、つまり安心”
たったこれだけの文字で、その全てを見事に『伝えきっている』のです。
どれだけ素晴らしいコンセプトで企画されたものであっても、その全てをズバッっと伝えきる事ができないでいると、消費者の耳には届きませんし、心が動くことも無いです。
キャッチコピーは、それだけ、重要な役割であり、コンセプトが人間の脳内だとしたら、キャッチコピーは、人間の口。
要するに、脳で考えている事を、キチンと、目の前の人に伝えるための口が必要だ、と言う事が言えます。
どれだけ中身が良くとも、コピー次第で、企画が大きく倒れることも、起こってしまうのです。